グローバルIPがなくてもVPN環境を無料で構築

投稿者: | 2026年8月20日

日本国外にいると困るのが「日本のストリーミングサービス(TVer・らじるらじる等)が見られない」問題。実家に行けば見られるのに、と何度思ったことか。

そこで試してみたのがTailscale。結論から言うと、かなり便利です。今回はその設定方法と、実際にハマったポイントをまとめておきます。

この方法の何がいいのか

VPNサーバーを構築する方法はいろいろありますが、Tailscaleを使ったこのやり方には他にはないメリットがいくつかあります。

1. グローバルIPが不要

一番のポイントはこれです。従来、VPNサーバーを構築するには「外部から接続できるグローバルIPアドレス」が必要でした。自分も以前は、実家に高価なWiMAXの回線に、さらにグローバルIPオプションを付けて契約していました。

Tailscaleは各端末がTailscale社のコーディネーションサーバーを介して接続を確立する仕組みのため、グローバルIPがなくても、いわゆるCGNAT環境(キャリアが複数ユーザーでIPを共有するような回線)でも問題なく使えます。おかげで、今は無料の「楽天モバイル株主優待プラン」の回線でVPN環境が実現できています。固定費がまるごと浮いて助かります。

2. 端末を選ばない

Windows 10、Windows 11、MAC、Linuxはもちろん、手元にあった古いiPhone 8(iOS 16.7.16)でも動作しました。OSやハードウェアが多少古くても実用になる、というのは嬉しいポイントです。

3. ルーター設定が一切不要で設定が簡単

ポート開放やDDNS登録、静的IPマスカレードの設定など、従来のVPNサーバー構築で避けて通れなかったルーターの作業が、今回は一切必要ありませんでした。実家のルーターがどんな機種か気にする必要すらありません。

Tailscaleとは

Tailscaleは、WireGuardをベースにした比較的新しいVPNサービスです。従来のVPNと違って面倒な設定がほとんど要らず、各端末にアプリを入れてログインするだけでプライベートなネットワーク(いわゆる「Tailnet」)が作れるのが特徴です。

  • 個人利用なら無料プランで十分
  • NAT越えやポート開放の設定がほぼ不要
  • Exit Node機能で「特定の端末経由でインターネットに出る」ことができる
  • Subnet Router機能で「特定の端末の先にあるローカルネットワーク」にもアクセスできる

今回はこの2つの機能を組み合わせて、実家のネットワーク経由で日本のストリーミングにアクセスできる環境を作りました。

全体構成

やりたいことはシンプルです。

  1. 実家(日本)にあるWindows 10 PCを Exit Node および Subnet Router として設定する
  2. 海外の自分の端末からそのPC経由で通信を流し、実家のネットワーク(192.168.2.0/24)にいるように見せる

これができれば、日本国内判定が必要なストリーミングサービスも、実家のIPアドレス経由でアクセスできるようになります。

設定手順

1. Tailscaleのインストールとサインアップ

まずは実家のWindows 10 PCと、海外にある自分の端末それぞれにTailscaleをインストールし、同じアカウントでログインします。これだけで両者は同じTailnet内の端末として認識され、お互いにプライベートIP(100.x.x.x帯)で通信できるようになります。

2. 実家PCをExit Node、Subnet Routerとして設定

実家のWindows 10 PC で、コマンドプロンプトかPowerShellから以下のように設定します。

tailscale up --advertise-exit-node --advertise-routes=192.168.2.0/24

3. 管理画面で承認する

Tailscaleの管理コンソール(admin console)にアクセスし、実家のPCに対して

  • Exit Nodeとしての使用
  • Subnet Routes(192.168.2.0/24)の使用

をそれぞれチェックボックスをチェックして承認します。ここを承認しないと、いくら端末側で設定してもトラフィックが流れないので注意が必要です。
※マシン名の右端にある「…」をクリックして「Edit Route Settings…」をクリックするとチェックウインドウが表示されます。

4. 海外の端末でExit Nodeを指定

あとは海外の端末で、実家のPCをExit Nodeとして指定するだけです。これでインターネットへの通信がすべて実家経由になり、ストリーミングサービスからも「日本国内からのアクセス」として扱われるようになります。
実家のローカルネットワークにだけアクセスしたい時は、Exit Node を none にするとインターネット通信は実家のPCを経由しなくなります。

つまずいたポイント

アプリや設定画面に出てくる、Exit Node と Subnet Route の言葉の意味を知らなかった💦

まとめ

アカウント登録から設定完了まで20分ほどで終わりました。
Tailscaleを使うことで、実家のネットワークを経由した簡易VPN環境を思ったより簡単に構築できました。グローバルIPが不要なので回線選びの自由度が上がり、ルーター設定も要らず、端末もWindows 10/11、Mac、Linux、iPhone、Androidまで幅広く対応してくれる。「実家のPCを常時起動しておく」というハードルさえクリアできれば、コスト・手間の両面でかなり有力な選択肢だと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)